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1-45 ファーストタイムデートデート

「行くとこ考えたか?」 「え?」 「流石に明日休みもらったので」 なんの話か分からずナナメは呆然と彼を見つめる。 カウンターの向こうからヨコは眉間に皺を寄せて、ぽけっとしているナナメを見下ろした。 「明日は…用事あるのか?」 「な、ないです」 「なら出かけよう…って言ったよな?俺」 彼の言葉にナナメは、そんなことを言われたような言われていないような、と暫く思考して なんとなく顔が熱くなってしまい結局記憶をまともに引き出せなかった。 「まぁ、行きたくないんなら良いけど…」 「行きましょう!」 食い気味に返すとヨコは肩を竦めてリビングを去っていってしまって、 ナナメは暫くまた皿を抱えたまま固まってしまった。 即答したもののその事実がじわじわと自分の中を侵食していって、 やがてずぶ濡れになった皿を抱えたままその場にしゃがみ込む。 「それって、それってデートってやつですよね…!?」 誰にともなく確認をとりながら、自分の中の謎に乙女な部分が きゃ〜〜っとハートを飛ばしまくって、ありえないくらい心臓が高鳴っていた。 それ以上のことを散々しておきながら、2人で出かけたことなんか勿論ないわけで。 一体どういう顔をして隣を歩けばいいのか。むしろ隣を歩いていいのか。 こっそり後ろを付けていく感じにした方がいいのではないか?と 彼の隣を歩くことを想像するだけで鼻血が出そうだった。 「ど、どうしよう…何着たらいいんだろ… 女装とかしたほうがいいかな…」 意味不明なことを言いながらもナナメは暫く、 キャーキャーと自分の内側が騒ぐのに翻弄されて ついニタニタ笑ってしまうのであった。

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