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1-46 ファーストタイムデートデート

思えば出かけること自体が久々な気がする。 仕事も基本的に袖野が家に来てくれるので、 よっぽど大切な打ち合わせなど以外は滅多に家から出ることのないナナメは 季節感などもよく分からず、まだコートは早いかなとかこの色は微妙かなとか 迷うなぁセクシーなのキュートなのと他所行きの服としてしまってあったものを取っ替え引っ替えして 結局以前妹に見繕ってもらったシャツとカーディガンとパンツを一式そのまま着ていく事にした。 デートなんて一体いつ以来だろうというほど遥か昔の歴史となっていたため 行きたい場所の検討すらつかず、食材の買い出しと ちょっと公園でも寄って紅葉でも見ながら散歩しようということで纏まった。 「俺あれやりたいです! 『ごめ〜ん待ったぁ?』『全然、今来たとこだよ(爽やか)』的なやつを!」 玄関で靴を履きながら一人芝居をして提案すると、ヨコは呆れたように首を傾けている。 「なんだそれは…まあいいけど」 「やったー!じゃあ俺先に行って待ってますねっ!」 「あ、俺がごめ〜んの方なのか」 ナナメは玄関を飛び出して、住宅街の入り口まで歩いて行き案内板の前で待つことにした。 年甲斐もなくはしゃいでる自分に付き合ってくれるヨコを心底ありがたいなと思いながらも 一緒にお出かけが出来るという貴重な贅沢を たまには自分に味あわせてやっても良いのではないかと思ったりする。

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