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1-49 ファーストタイムデートデート

「あ…ごめんなさい、そうですよね…俺なんかと行ってもしょうがないですよね… ヨコさんといれるならどこでもいいのに…」 せっかく一緒に出かけてくれるのだし、あんまりわがままを言ってはいけない。 左には申し訳ないが、可愛い女の子とならまだしも 自分なんかとそんな所に行きたいわけがないのだ。 「うわ〜泣かせた〜サイッテ〜」 「な、泣いてないですよ大丈夫です」 「わかった…!動物園でもなんでも行ってやるから!」 ヨコはナナメの頭をぐしゃぐしゃと撫でてくれて、 ナナメは泣きそうになりながら彼を見上げた。 「はーヨコってば成長したのね!お母さん嬉しい!」 「頼むから息をしないでもらえると助かるんだが」 「ナナメさん、出来の悪い子ですけどよろしくね」 彼にそんな風に言われて、よろしくされているのは自分なのにと思いながらも ナナメは苦笑した。 「はぁ、もう行くぞ。動物園な?」 「…はいっ!」 嬉しくなって、ナナメは頷きながら笑みを浮かべてしまう。 「はいはいいってらっしゃい〜お熱いお二人さん」 「もう相手するなアホが移る」 ヨコはそういいながらもナナメの背中を押してきて、 つい歩き出してしまいながらもナナメは振り返って頭を下げた。 「左さん本当にありがとうございますっ」 いーって事よ、と左は片手をひらひらと振る。 ナナメの背を押しながらヨコは左をちらりと見た。 「あー..左、なんだその。..ありがとうな。今度なんか奢れ」 ぽつりと小さい声で呟くと、ヨコはナナメの手を引っ張るように歩き出す。 「僕が奢るんかいー」 彼の気の抜けたツッコミに苦笑しながらも一応もう一度頭を下げておいた。 彼に引っ張られるまま歩き、 あれこれって手を繋いでいるのでは…?と気付くとまた顔が赤くなってしまうのであった。

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