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1-59 泣いてもいいけど。

「…ナナメ…っ、も…離せ…」 掠れた声が溢れるが彼は解放するどころか、 顔の角度を変えてより深く中心を咥えると 下から吸い上げるようにして動かされ、思わず目を閉じてしまうと そんなつもりは全く無かったのに呆気なく彼の口腔に精が放たれてしまった。 「…っ、…は、」 一瞬何が起こったのか分からず、噛んでいた唇を解くと 彼は中心から口を離し、精液と唾液の混じった液体を唇から滴らせながら顔を上げた。 紅潮した顔で唇を舐めながら、潤んだ瞳で見つめられると 達してしまったばかりなのに身体中が沸騰し始めたように体温が上がった気がした。 両手を離し、ナナメは脱げかかったヨコの衣服を剥ぎ取り 自分も服を脱ぎ捨てながらまた上に乗ってくる。 「…自分が今どんな顔してるか分かってます? もしもあなたが俺のものになって、 こんな顔誰かに晒しやがったら、俺そいつのこと刺しちゃうかも」 彼の美しい微笑に顔を近付けられて、ばくばくと心臓がうるさく騒ぎ始める。 指先で頬を撫でられ、耳や顎を擽られると力が上手く入らなくて 獣のように荒い呼吸をしながらも彼のその瞳に目を奪われ続けていた。 「誰かに対して、こんな風に思ったことなんか無いんですよ? だから自分がどうなってしまうのかが分からないんです …怖くてたまらない…、俺はこんなに臆病で卑怯者だから 本当は、誰にも好きになられたくないって思ってた…」 ヨコのシャツのボタンを外す彼の指は、どこか震えているようでもあった。 彼のこれまでの恋愛がどういったものだったのかはヨコは預かりしれない事ではあった。 快楽に敏感なその身体にどんな人間が触ってきたのか、 そんな事を考えると我を忘れそうになってしまうもので考えないようにはしているのだが。

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