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1-61 泣いてもいいけど。
「…本当に、俺のものになってくれるんですか…?」
そんな風に泣きそうに眉根を寄せられて、今にも消えそうな震える声で呟かれると
沸騰しすぎた脳が、限界値を突破してヨコは渾身の力で彼を押し返して
めちゃくちゃに抱き締めながらその唇を奪った。
欲しい、欲しい、彼のことが欲しい。
欲望が身体中を支配して、彼のことを飲み込んでしまうのではというほど
唇に噛みついて、舌を愛撫して、その折れそうな細い体を力任せに抱き寄せて
だらだらと液体が二人の間を滴っていく。
「ッ、ん“…っ、んン、ん…」
ナナメは苦しそうに声を溢し、どこか離れたそうに身を捩る。
愛してもらえないだとか言うこと聞かないだとか、
好きになられたくないとか。
彼の思考は本当に理解できないが、ヨコは少々怒っているような自分も見つけていて
がり、と彼の唇を噛んだ。
「ッ!ん”、ん…〜っ!」
悲鳴のような声が口の中で抑え込まれていって、
ヨコはようやく口を離し、彼をベッドに押し付けた。
唾液を零しながら、ナナメは無抵抗にこちらを見上げてくる。
「…っ、つうか、もう、とっくにお前のものだし。
お前も俺のものってことになるけど、
覚悟はできてんのか…?」
好きだとかいう割に全然わかっていないようで
本当に、この強情には毎日死ぬほど好きだと言ってやらないといけないらしい。
足を無理矢理開かせて、太腿の痕の上を舌でなぞっていき、脛の辺りに歯を当てる。
「…そうだな、愛されんの、怖いかもな。
どんだけ逃げても追いかけて取っ捕まえて
泣いて叫んでも俺のものだってわからせてやるだろうし」
噛み付きながら、
自分だって誰かに対してこんな風な衝動や欲望が沸き起こるなんて初めてだったのだ。
確かに好きだとか守りたいとかそのような気持ちになったことが無いと言えば嘘になるが
それでもこんなにいつも近くにいて
こんなにお互いのことを愛おしく思っているのに
必死で追いかけないと追い付かないような相手は今までになくて。
「ッ、ァ、あ…っ」
捕食するように、彼の身体を貪って
唾液で濡らした指を彼の中へと侵入させた。
ぐちゃぐちゃに掻き回しながら太腿や横腹を甘噛みする度に
指は締め付けられて、彼の自身からは先走りの液体が溢れていた。
「けどもう遅い
なァ、俺がお前のものだってまだわかんない?」
「っ…ふ…、うぅ…」
ナナメは眉根を寄せながら、戸惑ったように涙を溢れさせていて
本当に、捕まったのはどっちなのかと思うのだけれど。
指を引き抜いて、ずくずくになったその場所に欲望を押し付けた。
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