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1-64 あなたの側で
もう、負けを認めるしかない。
ナナメはギシギシの身体をほとんど一日中横たえて、
幸せの余韻を享受していたのだった。
自分がどれだけ駄々を捏ねても、立ち止まろうとしても
稚拙なネガティヴキャンペーンなんていうものだって
彼には何も通用しなくて。
あんなに言わないようにしていた言葉を何度も言わされて
越えようとすることすらも考えてはいけないと思っていた壁を易々とぶち壊されて
どこまでも追いかけてきて愛そうとしてくれるその屈強さに心も体も全て完敗した気がして
最早清々しいまでもあった。
起き出したもののやっぱり身体が怠くてソファに横たわりながら、
彼の言葉を思い出すとにやにやと口元が緩んでしまったりして
こんなに幸せで良いのかしら、と思うばかりだった。
「…うん、よし……」
どうしようもないこんな自分のことをあんなに愛してくれる人は後にも先にも彼一人だろう。
だったらもう自分の全部ぐらいさっさと明け渡してやらないと、きっと割に合わないはずだ。
この先どうなっていけるかはわからないけど、
恐怖も恐れもかなぐり捨てて、彼と向き合っていかなくては。
そうしないとあの愛は、
到底受け止めきれそうにないから。
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