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1-67 あなたの側で
「…ヨコさん…」
「うん」
「……俺、のこと…恋人に、してください…」
心臓が口から飛び出しそうなほど、煩くて。
こんなことを言ったのは生まれて初めてだった。
彼の顔が近付いて来て、ちゅ、と口付けられる。
「…はい」
ヨコは小さく微笑んで、額をくっつけてくる。
幸せで、幸せすぎて、視界がじわぁ、と滲んだ。
「よ、ヨコさんが笑った…」
「笑ってない」
本当に、恋愛なんかにかまけてる暇はないのかもしれないけど。
だけれど、
社会とか、世界とか、何にも関係なくて。
ただ、この人の側にいられるなら。
そんなことを今はただ、
この人の腕の中で願っていたいのです。
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