「つかれた…」 「しぬ……」 喫煙所でヨコは同僚の裾川と白眼を剥きながら瀕死の状態で煙草を咥えていた。 ただでさえ4人しか居ない部署に怒涛の案件ラッシュで、会社に酷使され お荷物課と揶揄され、若干浮いている存在のヨコの部署は相当に摩耗されていた。 「年度末近いとはいえ歴代一位じゃない…？この激務…」 裾川は苦笑しながらベンチにぐったりと座り込んでいて ヨコもその隣で呆然と煙を吐き出しながら彼を見た。 「…裾川さん、は、辞めたいとか思わないんですか…」 彼は、んー？、と言いながらどこか寝不足の目を向けてくる。 相当に優秀な人材である彼は、 こんな所でお荷物課に取り込まれている場合ではないような気がするのだが。 ヘッドハンティングの噂も度々耳にするし、 そもそも自分のようなかなり年下の上司の部署にいることだって不思議でならないのだが。 「まあねえ、嫁にもお前ならもっと稼げんだろって言われてるー。」 彼はそう言いながらも、へらっと笑った。 「でもま、俺結構この4人で動いてんの好きだからさー ミナミくんは面白いし、雨咲ちゃんも見てて飽きないし 真壁くんはうまーくバランス取っててさ。 たしかに会社での我々の扱いは雑だけどね」 肩を竦める彼に、自分は上に立つ者として大丈夫なのだろうかと常に思っていた為 そんな風に思ってもらえていることが素直に嬉しくて、そうですか…、と返した。 「それになんかさ、我々このままじゃ終わらん気がしてんのよね」 裾川は煙を吐き出しながら、まるで根拠のないことを言うのだが 彼のこういう不思議な発言は割と本当になったりするのがまた凄いところなのである。 きっとこの人はもっと先を見ているのだろうなぁ、と思いながらもヨコはその横顔をぼうっと見つめていた。 「それはそうと真壁くんは彼女とどうなん最近」 「…ん“っ」