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2-34 レッツゴー眠らない街
礼美は何か落ち込んでいるように俯いていて、いったい彼女が今どういう気持ちなのかは分からなかったが
何か立て込んだ事情があるらしいと悟った。
「冷めちゃいますよ」
彼女のことを何も知らないし、そんな言葉しかかけてあげられない。
礼美は暫く押し黙っていたが、やがておずおずと箸を取り肉を食べ始めた。
「……美味しいです」
「ですよね!俺も初めて来たんですけど当たりでしたね」
彼女の言葉にナナメは素直に同意して、
そういえばヨコさん以外と食事したのめちゃくちゃ久々かも、などと思ったりした。
「あの…あなたの名前を聞いても…?」
「…え?ああ、えーっと、四鹿ナナメ、です」
「ナナメさん…」
彼女に復唱されて、本当にたまたま自分を尾けていただけなのか?と思ったりする。
勝手なイメージだがこういうストーカー的な感じは隅々まで調べられているような気がしたが
しかし彼女は自分のストーカーかというとそんな感じもしないし。
「ナナメさん…は、恋人、いるんですか…?」
2つ目の質問に何故それを、というようなことを聞かれ
ナナメは苦笑しながらも、焼けていく肉をひっくり返す作業に入った。
「…いますけど」
「そ、その人のこと、どう思ってるんですか…?」
彼女の質問にはますますわからなくなってしまう。
やっぱりストーカーなのだろうか。
そうだったとしても彼女はまだ言葉も通じるようだし、うまく話せばわかってもらえるかもしれない。
「…愛してますよ」
「あ…愛、して、…?」
「ええ。こんな俺のことを、好きだ、って
幸せにしたい、って言ってくれて本当にそうしてくれてる
すごい人なんです」
彼のことをこんな風に誰かに話すのは初めてだったし、よりにもよって得体の知れない相手に、ではあったが
それでも彼のことを考えると胸が熱くなって頭の中がふわふわしてしまう。
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