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2-40 お説教ですね。

ヨコはぽかんとなっていたが、 電車が動き出すと疲れたように片手で額を覆いながらこちらに向き直った。 「なんなんだ一体…」 ナナメは腕を組んだまま、その涼やかな目元やら長い脚やらを凝視し 本当に罪作りな男だと我が恋人ながら苦笑してしまう。 そう思うと彼女が涙ながらに話した事が痛いほどわかるが 自分は結構残酷なことを言ってしまったのかもしれないと若干の後悔も出てきたりして。 とはいえ、そもそもこの男が原因なのだと思うと、 少々自分の中に愉快な感情が湧き出てきてしまって 自分達の降りる駅に着くと、ナナメは彼の服の裾を引っ張った。 「ヨコさん、ちょっと」 「…?」 駅のホームは人もまばらだったが、階段を降り その下の人の居ない死角的な場所に彼を引き摺り込んで 壁にその身体を押し付けた。 さすがに驚いている様子の彼のネクタイを掴み 引っ張るようにして無理矢理下を向かせ顔を近付けた。 「あなたは本当に困った子ですね…」 「…ちょ、おい…」 「周りに愛想振りまいて あの子の頭撫でてやったりしてるんですって?」 「……ナナメ…?」 「俺言いましたよね…あなたは誰にだって好かれるはずだって それをわかってないのだとしたら……」 ヨコは戸惑ったようにこちらをじっと見てきて、 本当に何もわかっていないその残酷さに ナナメはにこりと笑顔を浮かべてネクタイを引いてさらに顔を近付ける。 「教えてあげないとですね?」

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