112 / 121
2-44 お説教ですね。
触りたい、触りたい、触りたい。
半分ほどボタンの外れたシャツの向こう側の白い肌が見えると、
そんな気持ちが溢れて堪らなくなる。
「噛んだらダメですよ?」
ナナメはそう言いながら片方の手でヨコの顎を持ち上げるようにすると
唇を指で無理矢理こじ開け、二本の指を侵入させてくる。
彼の細い指が舌を捕まえて、捏ねくり回すように蹂躙され始めると
噛みたい衝動に駆られるが釘を刺されてしまったので耐える他ない。
「…っ、は、ぁ…」
指で口腔を掻き回されると、開きっぱなしの口から唾液が溢れてしまって
自分で思うように舌を動かすこともままならないし。
持ち上げられている顎を動物でもあやすように撫でられるとぞくぞくと背中が震える。
「縛られて上に乗られて、こうやって弄ばれて、だらしなく発情しやがって」
ナナメはヨコの口を犯しながら額がくっつくほど顔を近付けて、冷ややかな眼差しで見下ろしてくる。
なんとなく視界が滲む気がした。
「なんでなんですかねえ…?」
ようやく指を引き抜かれて、ヨコはバクバクと騒いでいる心臓と
息苦しさに翻弄されながらただただ彼のその美しい顔を見つめ続けた。
「…ななめ…だから…」
若干酸欠気味に息も絶え絶えに呟いた。
散々弄り倒された舌が痺れているようだった。
「当たり前でしょう、他の方に許してるなんて思ったら気が狂いそうです」
「許すわけ…ないだろ…」
「あなたが許さなくても煽ってたら意味がないって言ってるんです」
彼は顎を離すといつの間にかシャツ一枚の状態になっていて、
ヨコの上に膝立ちをしてその美しい身体を晒してくる。
「ほら、あなたのせいですよ…?」
ナナメはシャツを捲ってその白い胸を晒しながら、切なげに眉根を寄せた。
独占欲の塊みたいな痕を宿したその肌は恐ろしいぐらいに綺麗に見えて。
ともだちにシェアしよう!