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2-51 側にいたい人

「真壁…さん、私…あなたのことが好きです、 私を助けてくれた時から、ううん、その前から、ずっと…ずっと好きでした…」 雨咲は肩を震わせながら俯いて、自分のスカートを掴みながら言葉を紡いでくれた。 いつもよりもずっとずっと小さく見える彼女のその頭を撫でてやりたかったが、 今は我慢をせざるを得ない。 「…そうか。ありがとう、そんな風に想ってくれて でも俺は、あいつのことを…大事にしたいって思ってる」 「彼女さん…美人ですもんね…私と違って優しくて、穏やかで…」 「…そうじゃない。 雨咲には雨咲の良いところがあって、それは比べられないが… なんていうか、あいつじゃなきゃ、俺がダメなんだ」 彼女が悪いわけではない。 だけれど自分にとっては彼しか考えられないと想ってしまっているのだ。 確かにナナメは綺麗だしいつも笑顔で常に穏やかだけど それだけではなくて、 生活能力が皆無のだらしない所も、 10分の1も理解できない訳の分からない思考回路も 昨日みたいに突然変なスイッチが入るところも 全部全部、目が離せなくて。 彼の事を考えてつい表情筋の緩んだ顔を晒してしまっていると、 雨咲は泣きそうな目で小さく笑った。 「そういうあなただから… 私、好きになれたのかもしれませんね…」 彼女の顔を見て胸が痛むのは間違いないのだ。 だけれど、やっぱり、 あの人の側にいられたなら、と あの人の為に生きられたら、と思うのです。

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