128 / 236

3-7 あなたの隣

本当は、誰にも必要とされていないし 別に居る必要もないような。 自分の存在している意味も意義も急に何もかもわからなくなって 暗闇の中に突然突き落とされて どこに向かって歩けばいいのかもわからない。 その恐怖で足が竦む。 ヨコは急に歩くこともままならないほど身体が重くその場に固定されてしまった。 なんとか顔をあげると、2、3歩先に進んでいたナナメが振り返った。 「…ナナメ…さん」 あなたはなんで、そばにいてくれるんですか? 俺はあなたの、隣にいても、 良いのでしょうか。 そんな言葉を口に出すことが恐ろしくて。 ナナメは不思議そうにしていたが やがて何も言い出せないでいるヨコの元へ戻ってきた。 顔を覗き込んで、美しく微笑んで。 「ナナメ、でいいですよ?」 俺はあなたを、 好きでいて、いいんでしょうか。

ともだちにシェアしよう!