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3-18 レッツゴー乙女チック!

「そうですね…。でも、あなたがいなくても 真壁課長は、いろんな人に好かれてるし、どうせ私なんかじゃ見てもらえなかったでしょうから…」 だから良いというわけではないのだが。 雨咲は両手を握り締めて、涙が溢れないようにするのに必死だった。 「そうでしょうか?」 「そうですよ…だって、彼女がいても関係ないって言ってるような人達に私はとても…太刀打ちできないし…」 「え?そんな人もいるんですか…」 ナナメは目を見開いた後に、ふうん、とニヤニヤ笑っている。 何か余計なことを言ってしまったかもしれないが、 雨咲はとにかくまた悲しさが込み上げてきて後退りした。 「…やっぱり、私にとって、真壁課長は特別だから そう簡単に諦められないですよ… だけど、迷惑かけないように、…っどうにか…しなきゃ…」 「…れいみさん」 どうして良いのかわからず喋りながらも涙が溢れてきてしまって そんな顔をまた彼女に晒す羽目になってしまったことが恥ずかしくて、頬を乱雑に拭った。 「本当にごめんなさい……」 「うーん。俺がいうのもなんですけど もっと自信を持ってください? そんな風に泣かれると、なんていうか…」 ナナメは雨咲の頭を撫でて、困ったように微笑んだ。 「やっぱり、勿体無いですよ。 ヨコさんはあげられませんが、 あなたなら絶対いい人が見つかりますよ」 またもやそんな風に言われて、なんで恋敵にそんなことを言われなきゃいけないの、という怒りと バカにするでもなく本気で言ってくれていそうなその瞳には 些か複雑な感情が生まれてきてしまって 雨咲はその綺麗な顔を睨み付けた。

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