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3-22 あめあらし。
結局なんやかんやで雨咲は店の奥に引き摺られていき
従業員用の更衣室のような所に連れてこられてしまった。
お店の裏側でもライト付きの女優鏡があったり、キラキラのドレスや化粧品が置いてあって
本当に女子よりも女子な空間だった。
「えっと、ちょっと待ってて…ね
なんかね、買ったもののちょっとサイズ小さかったのがあって…」
黒髪の従業員、しずかと2人きりにされてしまった雨咲はそわそわとしてしまった。
ここは所謂おかまバー的な所らしいのだが、勿論そんな所に近付いた事すらなく。
目の前にいる美しい人間も、がっつりと谷間が見えていて
本当に男性なのかと思うほどなのだが
確かに声の感じは女性にしては低いしヒールを履いているせいもあるのだろうが身長も高かった。
「あの…私…、本当に似合わない気が…」
雨咲は弱気な声を出して、女優鏡に映る自分の顔を見た。
なんだか強引にここまで来てしまったが、
ナナメはもちろん、男性であるしずかにも見劣りする自分が本当に惨めに思えてならなかった。
「そうかな?なんでもチャレンジだと思うけど」
「…それは、そうですけど…
でもなんか…ちょっと混乱してて…意地悪されてるのかなとも思うし…」
恋敵であるナナメはなんだって自分にこんなことをしてくれるというのだろう。
悲しかったはずなのにこの店の独特な陽の気に充てられて、自分の心理状態が良く分からなくなってしまった。
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