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3-25 あめあらし。

「そうよ…ナナメさんは、愛とか恋とかそういうのはもう…ね、って言ってたくせに… …それなのに久々に現れたと思ったら… 恋人できちゃいましたえへ、って…しかもまたあんなに綺麗になってて…!」 しずかはわなわなと震え出してしまう。 「僕のナナメさんをどうにかしてるのがよりによって男なんて…! 想像しただけで…くそがああ!男なんて滅べばいいのにぃぃ…!!!」 しずかは発狂しながら頭を抱え始めて、巨大な大人の暴れ回る姿は些か愉快に見えてしまって 雨咲は鼻を啜りながらも、ふふ、と思わず笑ってしまった。 なんだか、自分がそうあってはいけないと抑え込んでいたことを彼女が代わりにやってくれているようにも思えた。 本当は、もっと泣いて怒って、いいのかも。なんて。 どこか聞き分けのいい、良い子を演じようとしていたのかもしれない。 「そうですよね…奪っちゃえば、良いんですよね? 大人しく引き下がる必要あるか?って話ですよね」 「そうよ!奪って!?僕のナナメさんを返してもろて!?」 「じゃあ私の真壁課長も返してもろて!」 雨咲はしずかと半狂乱に騒いで、 その真っピンクな空間で、思いの丈をぶち撒けて 半泣きになりながらも、2人でゲラゲラと笑い転げるのであった。

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