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3-30 美しい横顔
顔を赤らめる礼美から身体を離すと、彼女の横で目を見開いているしずかが居て
いつも騒がしいくせにやたらと静かになっているのを感じ、ナナメは振り返った。
さよが変な顔で笑っている。
「口説いてる?」
「はい?」
「い…今のやば…」
しずかは胸を抑えながらもフラフラと歩いていって
ボックス席のソファーに崩れるように凭れかかっている。
「浮気じゃない?」
「な、違いますよ…!あなた達はまたそーいう爛れた目線で…!」
「あんた気をつけなさいよ?こういう男が1番厄介なんだから」
「は、はぁ…ていうか…え…?男…って…?」
礼美は波留子の言葉に、首を傾けていて
え?え?ときょろきょろし始める。
「…あら、もしかして気付いてなかった感じ?」
「は!?嘘でしょ!?れいみさん!?」
「え…あ、このお店も…そっか、そういう、あ、あ〜なるほど」
「いや違いますよ!?なんかいらん誤解がいらん誤解を生んでる気が…!」
「またややこしい事しちゃってない?」
てっきり男と分かっていて、それ故に尾けられていたと思っていたナナメは
蒼白し始める礼美に頭を抱えた。
「課長…俺がダメってそういう…?」
「いや、あの、ヨコさんの名誉のために言っておきますが
あの人は普通ですから…!ね!?」
「は!?ナナメさんの彼氏ってノーマルなの!!?」
必死に弁明しようとするナナメにしずかが参戦してきて
わちゃわちゃっと騒がしく夜は更けていくのだった…。
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