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3-35 俺のせいなのか?

まさかな、いや、ありえるのか?いやいや…、と浮かび上がる不吉な考えを書いては消してを脳内で繰り返す。 でも一応自分でそう思うのは少々恥ずかしいものの2人は恋敵のはずではあった。 しかし、もし自分が仮に女性だったとして、尾行して行った相手が優しくしてくれて 実は男でした、なんてなったらこっちの方がいい、とかなるんだろうか。 ナナメは正直自分よりも綺麗な見目だし、その割に放っておけないところもあって いつもにこにこして穏やかだし、大概のことは許してくれるけど、どこか男らしい部分もあるし、一軒家に住んでいられる経済力もあって。 よく考えると自分が勝てる部分がほとんど思い当たらない。 雨咲はいつもより発色の良い唇に少しだけ笑みを浮かべて仕事に取り組んでいて、 今までそんなことはなかったのに、などと思ってしまう。 あれ?これって非常にまずい感じなのでは? ヨコは無駄に焦り始める自分がいて、そわそわとなってしまい 今出社したばかりなのに煙草を片手に席を立った。 「ちょ、ちょっと、頭の整理……」 「へ?」 ミナミがぼけっと見上げてくるが、ヨコは逃げるように部署から離れていった。 官能小説って、男女だよな?ということは女性の描写がメインだよな? 色々と考え始めると不吉な考えが止まらなくなってしまう。 彼はここ最近ずっと仕事のことで悩んでいるようだったし、 具体的にはよくわからないが、今ままでの彼になくて今ある要因はどう考えても自分なのでは?という考えに至ると 妙に辻褄が合う気がした。 「…俺のせいなのか…?」 複数の問題が一気にごちゃごちゃと脳内を駆け巡っていて、ヨコは頭を抱えながら煙草を口に突っ込むのだった。

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