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3-45 近くて、遠い。
ナナメはいつも通り、に振る舞っているつもりらしかったが
いつもより明らかに声のトーンが落ちているし
背中も丸まっていて肩も落ちていて、眉も下がっている、気がした。
ここの所隙あれば部屋に引きこもっていたナナメは、珍しく早々にベッドに横たわっていて
それがなおのこと元気のなさを裏付けている。
ベッドに腰掛け、こちらに背を向けたまま身体を小さく丸めているナナメを見下ろした。
出かけていたことを考えると、打ち合わせかなにかだと考えれば
落ち込むような事があったのかもしれない。
担当である袖野が酷いことを言うとは思えなかったが、
そもそもが不調そうだったし
それがもしも自分のせいであるならば、どうしてやればいいのだろう。
「ナナメ」
声をかけてもすぐには反応がなく、数秒後にナナメは寝返りをうち
こちらを見上げてくる。
彼に近付いて頭を撫でると、ナナメは泣きそうに目を細めた。
「…どうかしたのか」
聞くと彼は首を横に振った。
そんな顔をしている彼を見ていると無条件に何かしてやりたいと思ってしまう。
「……俺に話してもしょうがない、か?」
つい自虐的に言ってしまうと、ナナメは先程よりも強く首を横に振った。
「…自分が…わからなくなってしまって……」
ナナメはぼそぼそと呟いたが、すぐに口を閉ざして起き上がった。
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