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4-3 BLACK&GIRL
ブラック企業のハードワークも目じゃないくらい、
ナナメは日夜1人で戦っているのだと思う。
そんな彼の仕事の原理原則なんて自分には分かるわけもないが
本来支えなければいけない恋人というポジションで
彼の仕事の邪魔をしているのであれば頂けないと思うのだけれど
じゃあ、仕事のために誰かと寝てきていいよとも言えるわけがないし
それが無理なら辞めろなどと言える権利も当然ない。
自分は一体どうしたらいいというのだろう。
平然とした顔で、何も気がつかないふりをして隣に居続けてもいいのだろうか。
ただ、隣にいることがこんなにも難しいものなんでしょうか。
そんな風に、思ってしまう。
昨日彼に、全部失ってもいい、だなんて言わせたせいで
一日中彼のことを考えてしまって全然仕事が手に付かなくて
ヨコは自動操縦のように帰路についた。
泣きながら、1番戸惑っているのは彼のはずなのに
余計なことを言って更に負担をかけてしまったかも。
どんな顔をしてどんな言葉を彼にあげればいいんだろう。
自分に出来ることってなんだろう。
そんなことをずっと考えているけど思い付かない。
重い足取りで家に帰ってくると、薄暗い玄関前に人影があった。
ドアの前に立ち尽くしている誰かは、こちらをくるりと振り返る。
「ありゃ?」
長い茶色の髪をツインテールにしていて、頭には大きなリボン。
黒いワンピースはスカートにボリュームがあり、フリルやリボンがたくさんあしらわれている。
ぱっつんの前髪から覗く顔は端正で可愛らしく、見覚えがあるような気がしたが、
そんな人形のような格好の女性と言葉を交わしたことなど記憶にはない。
ヨコは一瞬彼女を呆然と見つめてしまった。
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