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4-6 BLACK&GIRL

「…俺は、真壁ヨコと言います…お兄さんにはいつも世話になって…」 「ややや、どうせ真壁サンが世話してるんだべ? ナナメちゃん多分なんもしてないっしょ? だからお世話になってるはこっちの台詞なんだなぁ」 ナナミは、兄がどうもー、とヨコがしたようにペコリと頭を下げた。 テンションは独特だが意外と話せる子なのかもしれない。 「ナナメちゃんにはちょーっとだけご用事があったんだけどぉー 夜遊びでもしとるんかいな?」 「さぁ…」 彼女をリビングに通してやり、キッチンに駆け込み湯を沸かし始める。 彼女の風体的にお紅茶とかの方がいいのかもしれないが あいにく今は緑茶しかない。 「真壁サンいつからナナメちゃんと住んでるの?」 座っていてと言ったのにナナミはキッチンカウンターの向こう側に来るとこちらを覗き込んでくる。 「えっと…2年ちょっとですかね…」 「2年も!?やばっ!聞いてないんだが!」 ナナミはばちばちの長いまつ毛を羽ばたかせながら驚いたような顔をする。 「じゃああれだな、真壁サンがめっちゃいい人か ナナメちゃんが頭打って破天荒が治ったかどっちかだな」 ナナミはずけずけとナナメをディスっていて、妹とはそういうものなのかもしれないが ヨコはお茶を淹れながら肩を竦める。 「…ナナメ…さんは、いつも俺のことを助けてくれてますよ」 「り?そうなん?」 「はい。…俺の方が迷惑かけてるかも…」 ヨコはまた昨日のことを思い出して心が沈みそうになる。 カウンターの向こうでナナミは首を傾けていた。

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