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4-9 空っぽ

「ナナメちゃんのどこがいいん?」 「どこって……色々あると思うけど……」 「たとえば?」 「うーん……にこにこしてるところとか……」 パッとは思いつかないくらい全部が好きではあるし、利害があるから一緒に居るわけではないのだが。 なんだか複雑になってしまって自分も漬物を口に放り込むと、ふむう、とナナミは唸った。 「はいー、わかった」 「?」 ナナミはそう言いながら爪を綺麗に塗った指先でこちらを指差してくる。 「自分らあれやろ、付き合ってるでしょ」 「………。」 ナナミはにたぁと笑いながら見事に名探偵をしていて、こういう時ばかりは表情筋が死んでいてよかったなと思える。 「さぁ…?」 彼がいない手前否定も肯定もできず誤魔化すとナナミは、バタバタと足を暴れさせながらにたにたしている。 「へへへー当たってるでしょ! おかしいと思ったんだな!あのナナメちゃんが誰かと住んでるなんてさー」 「…そうか…?」 「そぉだよー!正直に白状したまえ! 顔かね?顔でしょ?可愛いだけが取り柄だもんなぁ!」 「…顔も、です」 とりあえずそれだけは言っておきたかったので伝えるが にゃははー、とナナミは愉快そうに笑っているのだった。

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