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4-15 空っぽ
「ナナメ……今どこにいる…?」
とにかく彼に会いたかった。
なんでもいいから抱きしめさせてほしかった。
彼の香りを感じて安心したい、その体温に触れて生きている心地を味わいたい。
そんな思いでいっぱいになると、涙が溢れてきてしまって
ヨコは片手で顔を覆った。
「……っ…ナナメ…」
彼は今どんな思いでいるんだろう。
自分なんかよりずっと辛いのかもしれない。
そう思うと余計に心配になって、どうしたらいいのかわからなくなる。
自分なんかどうなってもいいとさえ思う。
彼がいてくれさえすれば、くだらない自分のプライドだの独占欲だの、
そんなの、持っていたってしょうがないのではとも。
暫くそうして絶望に浸っていると、携帯端末が静かに鳴いた。
ヨコはナナメかと思って急いで画面を見ると、
携帯端末が知らせてくれたのはナナミからのメッセージだった。
『ナナメちゃんの居場所わかったかも!』
彼女のメッセージはそんなものだった。
「…!」
ヨコは思わず目を見開き、涙を拭って彼女にすぐ返事を出した。
今は藁をもすがる思いだ。
とにかく無事を確かめたかった。
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