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4-16 逃げ出した場所
心のどこかで、きっと相変わらずなんだろうなと思っていた。
小さな港に降りた時、それは確信に近付いたけど
町の様子はどこか記憶とは変わっていた。
見たことのない綺麗な建物が立っていたり、すれ違う人間は異国から来たのか聞いたことのない言語を喋っている。
海は相変わらずこの町の人間を閉じ込めるが如く島を取り囲んでいるけど。
海を眺めながらとぼとぼと歩いていると、後ろから来た一台の車に追い越された。
やがてその車は急停止し、窓から誰かが顔を出す。
「ナナメちゃん!?」
そう声をかけられ、ナナメは苦笑した。
車から降りてきたのは、茶色い長い髪を一つにまとめたすらっと背の高い女性だった。
「何をしよるん!」
「…ナナコさん…ただいまぁ…」
へらへら笑うと、女性はどこか怒ったようにナナメを睨んだ。
キリッとした目元と角度のいい眉のせいで余計に怖く感じる。
彼女はナナメの姉のナナコだった。
「びっくりした…幽霊思うた…」
「失礼な!」
「はぁ…ええけん乗りんさい…」
ナナコはため息をつきながらも車を指差した。
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