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4-24 あなたの元へ

「それにしてもナナメちゃんが自主的に帰るなんて驚きなんだけどぉ。 ナナコさ…お姉ちゃんから連絡あって目玉飛び出たよね」 新幹線のホームへ向かいながら、ナナミはそんなことを言っている。 確かに今までナナメは実家に帰るなんて言い出したことすらなかった。 盆正月だって帰る素振りも見せなかったし。 「そうなんですか…」 「そ!だってほぼ家出したようなもんだからねぇ…」 「家出…?」 「うん。もうねーナナメちゃんが居なくなった後大変だったんだからぁ ばあちゃんめちゃくちゃ怒るし母は大号泣するし…」 ナナミは苦笑しながらも、階段に差し掛かったのでキャリーバッグを抱えようとしていて ヨコはそれを持ってやった。 「まあ、ナナメちゃんの気持ち分からないでもないけどね ぼくなんかはもう何したって関心すら持たれなかったけど ナナメちゃんには違ったから…」 彼の過去はそんなに詳しくはなかったが、何かあるのだろうということは察してはいた。 露骨に話したがらないし、たまに少し溢したとしても変な顔をして笑って誤魔化そうとするし。 無理に聞き出すことはなかったが、そんな彼が自分から戻るということはよっぽどだったのかもしれない。

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