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4-25 あなたの元へ
新幹線に乗り込み、目的地までの道中ナナミは色々と教えてくれた。
「ナナメちゃん、昔は神童だったんだよ?
花道に茶道に書道に合気道、あと弓道もやってたかな
もう大人顔負けっていうか。
で勉強もずっと1番で、おまけにあの見た目でしょ?
近所でもすっごい評判でさー
唯一の男の子だからって母も父も超溺愛。
後継として祖母は必要以上に期待かけてた。
でもナナメちゃんにとってはどっちもプレッシャーだったんだろうね…」
ナナミは甘そうなチョコレートドリンクを片手にくるくると表情を変えて話してくれる。
「中学2年生くらいの時からなのかなぁ反抗期っていうか…
習い事も学校もサボりがちになって成績もガタ落ちで…ふらっとどこかいなくなったりなんてしょっちゅう。
家業も手伝わずにずーっと部屋に引きこもってたり、
髪も伸ばしてみたり、でっかい瓶底眼鏡かけ出したり、にこりともしなくなっちゃって。
大人は腑抜けになったなんて言ってたけど
…多分わざとだったんだろうねー
大人から色々勝手に押し付けられるのが、限界って感じだった。」
今のナナメからは想像ができないような、なんとなく頷けるような、そんな話だった。
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