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4-27 すべきこと

普段そんなに人と関わっていないナナメは、東京に生きていたって自分は狭い世界にいるのかもと思ってしまった。 保育園だの介護施設だの近付いたことすらないのに、姉は旅館だけでなくよくやっていると本当に頭が上がらない思いだった。 車を借りてやってきた施設は、自分が島を出た時にはなかった建物で 確かに新しくて綺麗だったが、 あの祖母がこんな所に入るのを受け入れたとはとても信じられない。 だからきっと、よっぽどなのだろうとは覚悟していた。 祖母のシチノは老舗旅館である“七花屋”を長いこと切り盛りしていた大女将であった。 ナナメは跡目としてかなり彼女から厳しく躾けられていたわけだが、対面するのは彼女に反抗して家を飛び出して以来だった。 受付で事情を話して、祖母の部屋を案内してもらった。 部屋のドアの横に掲げられた“四鹿 シチノ”の名前を見るといよいよ戦慄してしまい ノックもできずに佇んでしまう。 勢いでこんなところまできてしまったが、 自分は彼女に会ってなにを話すつもりなのだろうか。 しかし姉からも、もう追い先短いのだから今のうちに会っておけ、と釘を刺されたし 今更逃げるわけにはいかない。 ナナメは意を決してドアをノックした。 返事は返ってこなかったが、横開きのドアをそっと開ける。 部屋は病院の個室のようで、ベッドと少しのタンスなどがある程度でそんなに広くはない。 大きな窓があって海が見えた。 「……こんにちは…」 ナナメは挨拶をしながらも部屋に侵入した。

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