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4-28 すべきこと
ベッドの上に座っていた人物は窓の外に目をやっている。
相変わらずぴんと伸びた背筋だったが、その横顔は記憶よりも細く小さく、
随分とお婆ちゃんになってしまったものだと複雑な気持ちになってしまう。
「シチノさん…」
ナナメが恐々と声をかけると、彼女はゆっくりとこちらを振り返った。
もう自分のことは覚えていないかもしれない。
彼女はメガネの向こうから、眼光鋭い瞳でじっとナナメを睨んできて
そうされると自分が子どもの頃に戻ったような気持ちになってしまう。
「…なにをしとるんじゃ」
「なにをって……会いに来ちゃいました」
ナナメが答えると、彼女は小さくため息を零した。
「そがいな暇はあるんか?」
その物言いがなんだか懐かしくて、ナナメは思わず笑ってしまった。
何をやってもそうやって、次から次に宿題を出されているようで
嫌で嫌で仕方がなかった。
だけど今はさすがにそこまで響きはしないし、いつも忙しかった彼女の生き方がそうだったのだろうと予想も立てられる。
「ありますよ、それくらい」
ナナメはそう言いながらベッドに近寄って彼女に顔を近付けた。
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