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4-29 すべきこと
「またそがいな風に髪を伸ばして恥ずかしゅうないんか…」
「ええ。全然恥ずかしくないですよーだ」
「はぁ…すっかり東京モンになってしもうて…」
シチノは呆れたように眉根を寄せる。
「……全然、俺は東京に居たって変わらないですよ。
人と同じことはできないし、うまくいかないことばかりで。
…だけど、こんな俺のことを支えてくれる人がいーっぱい出来たんです」
ナナメが微笑むと、祖母は黙ってこちらを見つめていた。
その揺らがない目線が昔は苦手だった。
じっと観察されて、粗を探されているようで。
だけど、粗だらけでそれのなにが悪いんだと開き直って
そんなよくない成長をしてしまったと自負しているからか
なんだか昔よりも平気でいられた。
「だから…俺は東京に行ってよかったなって思うんです…」
別に彼女に分かってもらいたかったわけじゃなかった。
いや、もしかすると子どもの頃は分かって欲しかったのかも。
祖母は小さくため息を溢すと、そっと目線を外した。
「私にゃあようわからん。
都会は恐ろしいところじゃ思うとる。
それに出て行きたくても、できんけえの…」
「シチノさん…」
祖母の横顔はどこか寂しそうで、
ナナメはそういえば彼女の気持ちや想いなんて想像したことがあっただろうかと思ってしまう。
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