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4-43 すべきこと
「置いていかないですって、ちゃんと戻ってくるって言ったでしょう?」
なんだかとても久しぶりに彼に抱きしめられているような感覚に陥って、
それはとても安心できるし幸福に思える。
ヨコはようやく身体を離してくれて、その瞳は涙で少し潤んでいた。
改めてナナミを見ると、彼女は腕を組んで変な顔をしている。
「……何ですか?」
その何か言いたげな顔に冷たく当たると、ナナミは目を細める。
「いや、兄のそういうのちょっとキチィ〜と思ってェ……」
「あなたって子は本当に…」
相変わらず愉快な人格をしているらしいナナミにため息を溢してしまう。
「俺が無理矢理頼んだんだ…連れて行って欲しいって…」
「そうなんですか…?」
「そ!だからぼくは感謝されるべきなんですけどぉ?」
「というか、いつの間に知り合いに?」
「へへー内緒ー。ねー?真壁サン」
ナナミはそう言いながら首を傾けていて、
何となく面白くない気持ちになってしまうナナメだった。
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