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4-44 四鹿家の洗礼
新幹線を降り、電車を乗り継ぎ、船に乗り、
やってきたのはとある島だった。
海で囲まれ、どこかリゾートっぽい雰囲気もあるその島に降りると随分と遠くまで来てしまったものだと思うのだが
ナナメが生まれ育った場所だと思うと不思議な感覚だった。
ナナミと共に港から歩いている時に、
防波堤の端っこにナナメの後ろ姿を見た時は心臓が止まるかと思った。
気がつけば荷物も投げ出し彼を追いかけていたし、
腕の中にその温もりを感じた時は信じられないくらい安心してしまって
思わず涙が出てきてしまったヨコであった。
ナナメの運転する車に乗り込んで、彼の実家にやってきた。
塀で囲まれた家は、相当に大きく見えるし
由緒正しい老舗感が漂う日本家屋はまるで映画にでも出てきそうだった。
木でできた立派な門に看板が出ていて、“旅館 七花屋”と書かれている。
話には聞いていたが、確かに伝統のありそうな旅館である。
「あの…ヨコさん…本当にいいんですか?」
「…寧ろ俺の方がいいのかって思ってるけど…
なんか押しかけてるみたいで…」
車から降りるとナナミは率先して歩いて行ってしまい、彼女の荷物を運びながら今更謝ってしまう。
「それは…いいんですけど…」
ナナメは不安気に眉を下げていた。
門からは入らず塀沿いに歩いて行くと、塀の途中でドアが現れた。
大荷物と共にドアをくぐると、砂利道の細い通路の先に和風の建物が見えた。
二階建てに見えるが一体どういう構造になっているのかわからないほど広そうだ。
通路の先にすぐまたドアがありそこから建物内に入れるようだ。
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