207 / 236

4-46 四鹿家の洗礼

「初めまして…突然すみません…」 ヨコが挨拶をすると女性は、まぁまぁ…!と声を溢した。 「まー!かっこいいお友達できたんじゃねえ!? どうも初めましてぇ、母のナナエです」 「母…!?」 あり得ない申告に思わず素で返してしまうヨコであった。 「あ…すみません、…真壁と申します いつもナナメさんにお世話になっております」 「まぁ〜こちらこそ大変お世話になって! わざわざ来てくれたん!?嬉しい……っ」 気を取り直してビシッと挨拶を決めると彼女は感激しているようだった。 「さあさどうぞどうぞ、何もないところですけど」 母ナナエは部屋の方へと促した。 部屋は畳が美しい和室になっていて、テーブルやテレビなどが置かれている。 生活感が漂うそこは、四鹿家の生活スペースなのかもしれない。 大きくて立派な机が置いてあり、座布団も綺麗に並んでいて とりあえず端っこに座ることにした。 「今日はなんだか賑やかになって…ウチ嬉しくて泣いてしまいそうじゃ…」 「何言ってんの…?」 本当に涙ぐんでいる母にナナミは苦笑していた。 「お茶!お茶淹れましょうねえ」 母ナナエはぱんと手を叩いてはぱたぱたと走っていってしまった。

ともだちにシェアしよう!