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4-48 四鹿家の洗礼

「ナナメ君のお友達が来てるって!?!」 障子の戸が勢いよくスライドし、法被のような格好の男性が飛び込んできた。 眼鏡をかけた男性はヨコを発見すると犬のような速さで飛んできて両手で片手を握ってくる。 「初めまして!!父です!!!」 「え…!あ…、どうも、初めまして…」 「いつも本当にお世話になって…!! ナナメ君が迷惑かけてないだろうか!?」 目元はキリッとしていたが、眼鏡越しでも分かる澄んだキラキラした瞳で見つめられ、ヨコは何も言えずにただ手を振り回されていた。 「もー!ナナオさんやめてください!」 ナナメは父親を引き剥がそうとしていて、 そんな風になっている彼もなかなか見れないのでヨコはつい他人事のように眺めてしまう。 「ナナエさんが言ってた通りすっごい男前だね!?! もしかしてモデルさんだったりする!?」 「そんなまさか…ただの会社員です…」 「本当に!?都会の人ってみんなそうなのかな!?」 「やめてってば恥ずかしいから!」 ナナミは肩を震わせて笑っていて、 何だか随分と賑やかな家庭らしいと思うヨコだった。

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