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4-52 逃げて来てくれて。

「触れる…?なんの話ですか…?」 「だから……その、…女性とか……?」 「なんで?」 「なんでって…お前がそういうのを…書いてるからだろ」 言ってて恥ずかしくなってくるが、ナナメは眉根を寄せている。 「だから俺のせいで書けないって……」 「んん?え…?」 ナナメは腕を組んで首を傾けていたがやがて、あぁー…?と声を溢した。 「…まあ確かに官能は書いてますけど…別に女性に触れる必要はあんまりないですよ…? もちろんそういう人もいますけど…俺はどっちかっていうとリアル過ぎるとなんだかなーって思う方だし…」 「…そう、なのか?」 「えっと…ていうか……ヨコさん……」 ナナメは言いながらも顔を背けて肩を震わせ始める。 「っ、俺が…誰かと寝るとか思ってたんですか……?」 彼は口元を抑えて震えていて、泣いているのかと思いきやどうやら笑いを堪えているらしい。 なんだかだんだん恥ずかしくなってくる。 「っ…そんなわけ……っ、あはは!」 ナナメはついに笑い始めてしまい、畳の上で笑い転げている。 「あのなァ…俺は真剣に……」 芸術のことなど全くわからないなりに必死に考えていたし 例えそうなっても相手を殺さないように抑えなきゃとか自分なりに覚悟しようとしていたのに。 ナナメはゲラゲラと笑っていて、ヨコは目を細めた。 「あぁ…もう、ヨコさんはなんでそんなに可愛いんですか…っ」 「はぁ…?」 笑い過ぎて出たらしい涙を拭いながらもナナメはヨコに顔を近付けてくる。 「俺はヨコさん以外に触って貰おうとか全然思ってないですよ? 普通に嫌だし」 ナナメはそう言いながらも膝の上に乗ってこようとするので ヨコは無意識に彼の腰に手を回した。

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