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4-55 逃げて来てくれて。
「………ごめんナナメ…勝手に…」
彼の了承も得ずに家族に喋ってしまったことを謝ると、ナナメは少し顔を赤くして俯きがちになっている。
「いえ……、ナナコさんになら言ってもいいかなって思ってたので…
どうせ見抜かれちゃうし…」
確かにあの鋭い眼には変に誤魔化すと余計に良くない感じがしたのもある。
それにヨコは、彼とのことに嘘をつきたくはなかったのだ。
「それに、…あの…うれしかったです…」
ナナメはそう言いながらもどこかもじもじとしていて、
相変わらずその残酷な所業にため息を溢した。
「…これで実質結婚?」
「………は、はぁ…?な、なな何いってるんですか…っ!」
顔を赤くしてわたわたと焦り始める彼に再び距離を詰める。
「も、もう…っ!ヨコさんのばかっ」
顔を近づけようとするがなぜか彼はヨコの顔を両手で塞いでガードしていて、
暫く格闘していたがもうそれくらいにしてやることにするヨコだった。
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