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4-56 永遠と一瞬
思えば久々に家族が揃っているし、ヨコも来ていることもあって
両親のおもてなし精神が爆発し過ぎたのか
宴会か?というほど机にぎっしりと料理が並び、平らげるのに苦労した。
帰り際に母のナナエは、行かんでぇ、と大号泣して大変だったし
ヨコも気に入られたのか、また来て!!絶対!!と父のナナオに約束させられていた。
泊まっていくというナナミを置いて二人は
ようやく帰路につき、無事に新幹線に乗ることができた。
窓の外の景色はどんどん都会に向かっていって、隣にはヨコがいて。
なんにもないなんて言ったらバチが当たるくらい、幸せだった。
「あのヨコさん…
迎えに来てくれて…ありがとうございました…」
ナナメは隣のヨコを見上げて、小さな声でお礼を言った。
ナナオにひたすら酒を飲まされていたがヨコはけろっとしている。
「言ったろ。どんだけ逃げても追いかけるって」
彼はそう言いながら頭を撫でてくれて、あぁそうか、と妙に腑に落ちて
彼の肩に寄りかかるように頭を傾けた。
「えへへ…」
祖母は逃げるなと言ったけど、ヨコはそもそもそれを許してくれない人で。
そうやって何もかもかなぐり捨てて追いかけてくれる人だから
自分も余計なものなんか持たずに応えなきゃと思うのだ。
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