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4-61 触っていいの?

「ん、…ぁ」 彼の腕が腰に回って抱き支えられると、無意識に顎が上がっていってしまって 胸を突き出すような体勢になる。 上顎を舌先でくすぐるように撫でられると、ゾクゾクと身体中に熱が走っていく。 「っ…ン、…はぁ…」 ナナメは遂に片手で彼にしがみ付いてしまうのだが 顔の角度を変え深く口付けられる。 「ん、んん゙…っ…!」 上顎を舐め上げられると頭が真っ白になって、身体を震わせる。 口が離れると、とろ、と唾液が滴ってしまうのだが それを拭うことも忘れてナナメは彼の瞳を見上げた。 もっとたくさん触ってほしい。 そんな欲求が渦巻いてどうにかなりそうだった。 「ナナメ…、」 ついに身体が倒れてしまい、余裕のなさそうなヨコの顔を見上げる。 涼しげな目元が今はギラギラと光っていて、 少し乱れた黒髪も、熱を持つ指先も、気付けば目で追ってしまう。 「……っ…」 思わず溢れた涙を、反射的に片手で拭った。 自分は一体どれくらい、 この人に出会えて良かった、と思い知らされるんだろう。

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