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4-67 触っていいの?
引いてはまた着火させられる身体に、ぼろぼろと泣きながら彼の香りに包まれていた。
「ふ…ぅう……っ、うう…」
口の中の何かを噛み締めながら、辛いはずなのにありえないくらい幸せで
身体も心も頭の中も全部ぐちゃぐちゃだった。
すると無理矢理引き剥がされて、彼に唇を塞がれる。
「っ、ん、ん ん゙…ッ…ぅ…、っん…!」
口の中で絶叫しながら、溺れるくらい彼を感じさせられて
自分の中に注がれる液体に溶かされるようだった。
ようやく止まった律動に、ぐったりと力が抜けていってしまって、だらりと両手は投げ出される。
「は…ぁ……」
自分の状態も体がちゃんと溶け出さずにいられているのかも何も分からなかったけど、
全身を撫で付けてくる疲労感と共に、じわじわと喜びが浸透してくるようだった。
「……愛してる…」
ぼそりと耳元で彼の声が聞こえてきて
散々泣いていたはずなのに、つう、と温度の違う涙が溢れていった気がした。
「すき……、です……ヨコさん……」
乱れた呼吸の隙間でナナメは呟いて、くっついている彼の肉体を感じながら
莫大な眠気に引き摺り込まれるように意識を失った。
死ぬ時は、こうだったらいいのにと思えるくらい
心地よく全てを持って行かれてしまうのだ。
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