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4-73 なんでも。
隙をつかれてナナメは肩を落としながら仕方なく段ボール箱を開封した。
中にはお菓子やら缶詰やら、魚の干物やら調味料やらお酒やらとにかくぎっしりと食材が詰まっていて
その上にはA4くらいの大きな茶封筒が乗っかっていた。
封筒の中には原稿用紙のようなものが束になって入っており、ありえないくらい綺麗な文字でぎっしり何かが書かれている。
「…なんて?」
「いや…なんか…読むに値しない長文ラブレターですね…」
この前は本当に嬉しかったという旨から始まりつらつらと重すぎる母のお気持ちが書き連ねられており、ナナメはため息をこぼしながら読み飛ばした。
「すごいな…全然底が見えない…どうりで重たいと思った」
ヨコはパズルのように敷き詰められている食材達を取り出しては感心したように呟いている。
「はぁ…こんなに送ってきて…だから教えたくなかったのに…」
「俺は結構嬉しいかも。かき醤油…?初めて見た…」
ご当地のアイテムをヨコは物珍しそうに眺めている。
「まぁ…ヨコさんがいいならいいんですけど…」
結局料理して貰うことになるので、ヨコが嬉しそうならいいのかとも思ってしまう。
自分一人だったら確実に持て余してしまう事だろう。
「また絶対に必ず命に変えても会いに来てください。もちろん真壁さんも一緒ですよ。だそうです…怖…」
「気を遣わせてしまったか?」
「まさか…本気で執着され始めてますよ…これは…」
しこたま食わされ飲まされていたヨコは何故か両親に大いに気に入られてしまったようで、本当に見つからせたく無かったなと後悔してしまうナナメであった。
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