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第2話
「君のこと本当に好きなんだ。長い睫毛も、普段はクールなのに笑うと花が咲いたような笑顔。何よりも可愛くって……全て君の全てが好きなんだ。だからもう、お金だってある。僕の家は裕福だし、だからもう――」
「こんなところまで呼び出しておいて、そんな事言う為だったんですか?」
僕は屋上に呼び出された。体の関係を三。四回持っただけの先輩に。
たかがそんな関係を築いたって、僕は揺るがない。
仕方ないじゃないか、生きていくにはお金が必要なんだから。
「静留! お願いだから他の男と寝ないでくれ。俺と……幸せになろう。絶対に幸せにできるから!」
「や、やめてください」
気持ち悪いな……ここまで来ると。僕は体を売るだけなのに。何が悪いの? 好きな人はと
っくの昔に死んでしまったし、もうそんな人現れない。兄さん……。
甘く切ない思いに囚われる僕だけど。僕をどうにかして自分だけのものにしようとするこの醜い男がうざかった。
「静留! 君は天使のような子だから大切にするよ。とてもとても。本気なんだ。君の事。俺に言ってくれたじゃないか、好きだって」
「先輩から貰うお金が好きなだけです。お金さえあればいいんで」
「静留、それじゃぁまるで……身を売ってるとしか思えないよ! 噂は本当だったの?」
(喧嘩が強かったら張り倒すのにな。でもそしたら僕の名前に傷がついちゃうし……だめだな)
「何してるのかな? 嫌がってるようにみえるけど?」
天の助けかわからないけれど、この声は……、
「困っていますよ? そんなんじゃ幸せにしようとしてもお断りされてるのに、無理でしょう。身を潔く引いた方がいいですよ?」
「せ、生徒会長……貴方には関係ないでしょう」
「困っている、可愛い後輩を捨てておける程腐ってないものでね」
ドクン……。兄さんに似てる…‥!
真っ黒な腰まである長い髪を翻し、様になっている。ナイトとして。先輩は僕がこの学校に来て初めて見る人だった。
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