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act6:跳ね火②

「今、思い出しても感激モノだったなぁ。レインくんのはじめて」 「Σ(`0.´*)ブッ」  大倉さんに押し倒されて、いつものように励んだ後、テーブルに用意されていたレモネードを飲んでいたら、唐突に告げられたセリフのせいで、思いっきり吹き出してしまった。 「なっ、なんでそんなモン、思い出すんだ。バカらしい////」  動揺しながら乱された服を、さっさと手早く直す。動揺しまくりで、上手くシャツのボタンがはめられないとか(汗) 「ホントに俺が、はじめての男だった?」 「何を疑ってんだよ、くだらない!」 「だってさ、はじめて挿れたのに、その瞬間いきなりイクとかありえないって思って」 「くっ//// しょうがねぇだろ、人よりも敏感なんだって」  背中を向けて誤魔化すように、コップに残っていたレモネードを飲み干した。この甘酸っぱさとほのかな苦みは、残念ながら過去の出来事に、面白いくらい比例しまくってる。呆れるくらいワガママで、嫉妬深い大倉さんには分からないだろうな。 「敏感なのは、抱く前から分かったけれど。それでもさー……」  うだうだ言いながら後ろからぎゅっと抱きついてきた、華奢なクセに力がありまくる両腕。  ため息をついてテーブルにコップを置き、その手の上に自分の右手を重ねてやる。 「俺は回数重視なんだ。感じさせられるお陰で、大倉さんの倍はイってるだろ」 「倍というか、いい感じにたくさんイってくれるのは、嬉しい限りだけど」 「その数と気持ちは、同じってこと。だから疑うなよ」 「だったらさ……一緒に暮らしたらその数は、減ってしまうだろうか?」  一緒に暮らす――!?  口元を引きつらせながら顔だけで振り返ると、少しだけ頬を染めた大倉さんが、じぃっと見つめきた。 「俺と一緒に暮らすの、イヤ?」  恐るおそるといった様子で訊ねる言葉に、すかさず首を横に振ってやる。 「別にイヤじゃねぇけど。でもいきなりすげぇ言葉、投げつけたな」 「いきなりでもないんだ。ずっと考えていたことだし……レインくん、縛られるのイヤがっていたから、ずっと言い出せなかっただけ」 「チッ、僅差で言われちまった。残念」  くすくす笑って胸ポケットに忍ばせていたものを、強引にその手に握らせた。 「これって……何のカード?」 「マンションのカードキー。おねぇ店長に頼んで、いい物件を探してもらっていたんだ、記念日までにってさ」 「だって昨日逢ったとき、アイツ何も言わなかったのに」  珍しく混乱しているんだろう。いつも浮かべてる笑みが消え失せ、呆然といった表情を浮かべる。先に言えなかったけど、サプライズな同棲宣言は成功らしいな。 「大事なことを、簡単にゲロされて堪るかよ。それなりに報酬を渡してある」 (某ブランドの口紅、世界300個の限定販売のものを握らせたからな。絶対に口は割らないだろうと思ったんだ)  背中を向けていたのを止めてきちんと向き直り、大倉さんの両手を握りしめてやった。 「秀彦、一緒に暮らそう。いつでもアンタの笑顔が見たい、傍にいたいから」  この記念日を境にお互い引越しをし、用意していたマンションに一緒に暮らし始めることが出来たのだが。一緒に暮らしても、事件は起こってしまうのである。  めでたし めでたし  事件の話はのちほど、ここで語られる予定です(・∀・)  その前に番外編を連載していきますので、お楽しみくださいね。

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