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第11話 シャルウィ恋愛ゲェム?

「あなたとは初めて会う..でも音楽が始まったら」 突然ファリスは歌い出した。 アッシュは彼女を見つめる。 「私たちも手を取って、みんなに混ざり 踊りましょうか?」 その透き通る声が頭の中を駆け巡る。 ファリスはアッシュの両手を取り、 そっと立ち上がった。 アッシュもつられて立ち上がる。 「踊りませんか?」 月の光が、彼女の金色の髪を光らせ 白い肌を驚くほど妖艶に映す。 「音の上を飛びませんか? 踊り終わればさよならかしら?」 ファリスの手が肩に触れ、ゆっくりとステップを踏み始める。 アッシュは彼女の腰に手を回し、合わせて回り始めた。 「それとも空から星が消えても 私たちはまだ肩を抱き、恋に落ちるかしら?」 豪華なオーケストラも、シャンデリアの輝く明かりも、人々の喝采もここにはない。 潮風が木々を揺らす音と噴水の水音に彼女のアカペラが乗っているだけだが 今まで聞いたどんな音より心地よく、美しく 永遠に続いてほしいと願うほど甘美な空間だった。 「もしもそのまま愛し合うことになっても 踊りませんか?踊りませんか、踊りましょうか?」 歌は途切れ、 ファリスの瞳が静かにアッシュをとらえた。 2人は静かに見つめあった。 アッシュは、漠然とだがハッキリと 彼女こそ運命の相手で、自分は恐らく彼女のためならどんなものも犠牲にできるだろうと思った。 「ファリス姫.....私と....」 アッシュは静かに口を開いた。

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