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第44話 決着

素早く第二撃をと一歩引き態勢を整え、 剣を振り下ろそうとすると何故だか両手が軽い。 「お探し物はこれ?」 いつの間にか自分の剣が仮面騎士の手にあった。 「なっ...いつの間に」 騎士の顔は仮面で隠れているため表情は わからないが笑っていることだろう。 仮面騎士は一度とんと肩に剣を当てると 丸腰のアッシュに容赦なく切りかかってくる。 咄嗟に両手をクロスさせ剣を止めた。 「ほらほらどうしたどうした!」 仮面騎士の猛撃を素手でなんとかいなしていくがこのままではまずい。 不気味な民族仮面を見つめ眉根を寄せた。 細長い楕円状の形に細い目のようなものが左右等間隔に3つも4つも並んでいてどこから見ているのかはわからない。 全くミミィグレースのセンスも良く分からない..、とどうでもいいことを考えていると アッシュは不意に彼女の言葉を思い出した。 この仮面実は面白い仕組みがあるんですのよー...。 光明が見え、アッシュは胴体に向けて横から襲ってきた剣を片手で受け止めた。 手のひらが切れているが興奮しすぎた脳では感知出来ず剣を掴んだ手を引き寄せ彼の身体をこちらに引きずる。 「...っ!?」 仮面騎士は驚き剣を引き戻そうとしたが その前に彼の付けている仮面に手を伸ばした。 仮面に触れて手探りで一番上にあるわずかなくぼみに指を差し込んだ。 カチリと手応えがあり、 その瞬間仮面は真っ二つに割れて地面に落ちた。 目を見開いたファリスの美しい顔が現れる。 「え....!?」 「ファリスさまだ...!」 固唾を飲んで2人の戦いを見守っていた兵達が 再びどよめき始める。 「隙あり」 急に視界が開けて固まっているファリスの頬に アッシュは口付けた。 「....っな」 「やはり強いな君は」 そう言って笑うとファリスの顔はみるみるうちに赤くなる。 剣を持つ手から力が抜けていくのがわかった。

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