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第48話 はじめてのれんあい!

「うわああああああバカは私だあああああ!」 体育会系のファリスは体から湧き出る謎のエネルギーを発散するため屋根を飛び回っていた。 普通に真面目な話をしていただけなのに、 何故か自分は彼を観察してしまって、 うまく言葉が紡げず変な対応をしてしまった。 その後もアッシュの顔や声が頭から離れないのだ。 それを紛らわすためにファリスは先程大人しくしようと反省したばかりだというのにドレスで屋根の上を走り回っていた。 「...うう...なんなんだよくそ...」 ようやく呼吸が乱れ始め、 ファリスはその場に座り込んだ。 辺りは薄暗くなりつつある。 夕焼けが目に痛い。 はぁ、とため息を零して海に沈むオレンジ色の太陽を見つめた。 一体どうしてしまったというのだろう。 あんなやつ、ただの暗殺のターゲットで、 今は..ただ保護してくれているだけで...。 それ以上になるつもりもないのに。 頬に触れられて、 にこにこと笑われて、キス、されて。 その時、 「......私は...」 とんでもなく、とんでもないことを思ってしまったような気がする。

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