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第59話 好きだから
「...ッ、....お前が...好きとか言うから..っ」
お互いに絶頂を迎え呼吸を整える隙間で
ファリスは顔を真っ赤にして、なぜか言い訳をしてくる。
「..なんで?何度言っても足りないくらいだ」
そう言って、眉根を寄せる彼の体を抱きしめる。
「むかつくよ、お前」
悪態をつきながらも頬を赤く染めたままの彼に
アッシュは時が止まったようにひたすら可愛いと思う感情に支配されていた。
「........。」
「....わ、バカ...っ!」
「ファリスが可愛いから悪い」
そう、全ては彼が可愛いせいである。
再び熱を持ち始める中心は未だ彼の中にあったので、ファリスは身体を離そうと片手をついてくる。
「かわいく、ねえし....っ」
先程のである程度要領を得たので、余裕が出てきた。
再び腰を揺らし始めると、
ファリスの自身も再び熱を持ち始める。
「...も...っ、ばか...」
アッシュとは逆に、なんだか先ほどより余裕がなくなっているような彼に
意地悪したいような気分になってくる。
そっと顔を近付けて、彼の頬に口付けた。
やがて耳朶を食み、舌でなぞると彼の体がびくりと震える。
「..ひぁ..っ、あ....ッ」
甘く、切ない声が溢れて、
その声をもっと聞きたいと思い始めてしまう。
首筋に唇を滑らせ、下から舐め上げる。
そういう風に愛撫すると、内部から彼が絡み付いてきて
柔らかいのに締め付けられる感覚に再び呼吸が上がっていく。
「...なか...、ずくずくだな」
「ん、仕方ない..じゃん...っ....」
彼の胸に触れる。
滑らかな肌を撫でて、胸の突起に指が引っかかる。
「..そういうこと、しなくてい...っ」
「嫌だったか?」
「ぃやじゃ...ない、けど...っ」
硬く尖りつつあるそこも性感帯なのか、
触れる度に彼が切ない声を上げるので
アッシュはそこに舌を這わせてみた。
「...っや、あ...ッ、だ..め...っ」
舌で舐り、吸い付くと彼の腰が跳ね、
その可愛い反応に夢中になってしまいそうだった。
「アッシュ...も、...っ」
髪を掴まれ顔を上げると、
顔を真っ赤にしたファリスが縋るような瞳で見つめてくる。
「イ...っちゃう、か..ら...ぁ」
途切れ途切れに呟かれ、アッシュは理性が飛ぶとはこういうことかと冷静に呟く自分を押しのけてファリスの唇を奪ってしまうのだった。
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