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第60話 朝チュン
気付けば朝チュン状態で、
ファリスは目を擦りながらベッドから逃げるように這い出た。
「くそ..めちゃくちゃしやがって..童貞こえーわ」
久々の腰の痛みにイライラしながらベッドを振り返るとアッシュは静かに寝息を立てている。
そんな彼を見ていると何故だかふっとその痛みが愛おしく変換されてしまって
それが恥ずかしいような気がしてファリスは近場に落ちていた枕を蹴り上げた。
しかし誘ったのは自分の方である。
「ヤッちまったもんはしょうがない...
責任持つしかねえだろ」
そう言って枕を拾い上げては
アッシュの元に戻って彼の額に口付けた。
人を好きになったことがないファリスは、
どうしてやればいいのかもわからない。
こんな身体だけおざなりに差し出してはい終わりというほど簡単ではないだろう。
自分がどれだけしてやれるかはわからなかったが、
この綺麗で純粋で、能天気な平和面を
守りたいと思う気持ちは、嘘ではないと思うから。
「....とりあえず風呂入ろ..」
ファリスはそう思い立ち部屋を後にした。
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