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第65話 おもい。

「何やってんだ!」 肩をぐいっと掴まれ体勢が崩れてしまった。 マルクだった。 こうなるだろうと思ってわざわざまいたのに、 本当に邪魔しかしない男である。 「ご覧の通り、処刑です。 勝利にささやかな花を添えようかと。」 「なるべく人を殺さんよーにとアッシュ殿下に言われてる」 「人じゃなくて花です。花というか食虫植物みたいなものですが」 シアーゼはイライラして 彼の手を弾いて剣の切っ先をマルクに向けた。 「邪魔するならあなたも殺します... 俺は、この人たちを殺さなきゃいけない。 今、ここで、ファリス様のために」 「....わかった、わかったって。 とりあえず落ち着いて...」 マルクは呆れたようにため息を零すと、 そっと剣を持つ手に触れてくる。 「俺がやるから貸しなさい」 「..はぁ?なんでですか、いやです」 「いいから。」 マルクはそう言って強引に剣を奪った。 取り返したかったが、 彼の鋭い瞳に睨まれ動けなくなってしまう。 「君はそれ以上手を汚すな」 呟かれ、 身体が急に何かに縛られたようになった。 普段チャラチャラしている彼が急に真面目になったから、というよりそんな風に言われるのが何故だか。 無性に、腹が立って。 「...なんにもしらないくせに...」 シアーゼは、両手を握り締めて呟いた。 マルクがまた腕を掴んできそうに手を伸ばしてきたので、シアーゼは彼らに背を向けて走り出してしまった。 「あっ、シアーゼちゃん!?」 マルクの声が背中に刺さる。 しかしシアーゼは振り返らず、廊下に出た。

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