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第74話 王の意向

「アッシュ、ミミィグレース、そしてファリス姫。 お前たちはまだ若い。次の世代を担う大事な若人達だ 奴らが欲しているのはこの王の首。 国民の命やお前達が守れるのならばこの老害のもの、いくらでもさし出そう お主達は生きることだけを考えるのだ。 この混乱の時代を生き、未来へ行くのだ」 リゼエッタ帝国現国王の言葉に、3人は反論しようとしたが 王は優しく微笑み、それを制した。 ミミィグレースは部屋に引きこもってしまい、 アッシュも悔しそうな表情で窓辺から動かなかった。 ファリスは側にいない方がいいだろうかと、色々考えたが彼の背中を見ていると放っておけなくて。 かつて彼がしてくれたように、後ろから抱きしめてやる。それくらいしかできなかった。 「.......お前がどの道を選んでも、 私はついて行ってやるよ」 夕暮れに迫る空が広がり、 アッシュの体温は変わらず暖かかった。 「...ファリス様!」 不意に見知った声が聞こえ、ファリスは振り返った。 床板が外れ、そこからシアーゼが顔を出している。 ファリスは思わず彼に近寄り床に這いつくばった。 「シアーゼ...!よかった無事だったんだな...」 「ええ...おかげさまで...ファリス様は無事じゃなかったようですね」 シアーゼは引きつった笑顔を浮かべてアッシュを睨んだ。 アッシュは苦笑している。 「いや、それよりすぐここを離れてください。 西ソマトロアム皇国軍が迫っています。 多分奴らはまともに戦おうだなんてハナから思ってませんから、直でここに来るはずです」 「え...でも」 ファリスは戸惑ってアッシュを振り返った。 アッシュも近寄ってきてファリスの隣に座り込む。 「どういうことだ?」 「...あの方々の戦争はゲームなんですよ。 ある日突然国民の前に王族の首を並べて、 これより我が国だーっていう演出をするつもりなんです。 強豪国の幾つかがそうやって侵略されています」 シアーゼの言葉に2人は絶句した。 しかし彼は焦ったそうに床から飛び出してきた。 「もうこの際お二人一緒でいいから逃げてください。 今のままでは奴らには勝てません。 なんとか勝てる道が見えるまで時間稼ぎますから、ひとまず生きることです」 シアーゼは王と同じことを言う。 ファリスは戸惑い、泣き出しそうになってしまった。 アッシュも同じ目をしているが彼はファリスの腕をとった。 「...ミミィグレースと君だけ行ってくれ」 「...何言ってんだよ!?」 「お嬢さんは海側の部屋でしたね、ちょうどいい」 無視してシアーゼは2人の腕を取り歩き出した。 引っ張られるまま2人は歩き出す。

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