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第75話 来たる、脅威
「侵入者だーー!」
「門を破られた!」
「一体どこから!?」
「街は通過してないのか!?」
廊下に出ると慌ただしい声が聞こえてきた。
「ほら言わんこっちゃない」
シアーゼは涼しい顔をして先頭を走っている。
2人は仕方なく彼についていくことにした。
廊下を走っていると、窓ガラスが割られ忍者のような黒尽くめの男達が入ってきた。
シアーゼはどこからともなく剣を取り出し、
襲い来る敵達を踏み倒して進み始める。
「くっそなんなんだ...っ!?」
「課金したら買えるアイテム"忍者"みたいですね」
次いでアッシュも抜刀し、加勢し始める。
ファリスはドレスが邪魔で脱ぎたくて仕方なかったが一先ず体術でいなしていった。
なんとかミミィグレースの部屋まで辿り着き、
ノックもせずにドアを蹴破る。
「お兄様...っ!」
ミミィグレースは半泣きでアッシュに飛びかかってきた。
「すごく大きな音がいたしましたわ...
戦いが始まってしまったの?お父様やお母様は...」
「ミミィグレース、よく聞け。
ファリスと国を出るんだ」
アッシュはミミィグレースに言い聞かせるように話し始めた。
シアーゼとファリスはテキパキと
ドアの前に家具を積み上げバリケードを作る。
「すみません..国王と王妃...、逃してしまいました」
不意に小さな声でシアーゼが呟いた。
ファリスは彼の肩を掴む。
「何言ってんだよ...!そんなのどうでもいいんだよ..私は、お前が無事なら..」
「ファリス様...」
2人はしばらく見つめ合った。
ファリスはシアーゼが傷付いていないかと探っていたが、彼の黒い瞳はいつも通りに光っている。
どこか決心したような瞳に、ファリスは妙な胸騒ぎを覚えた。
「.....シアーゼ...?」
嫌な予感がした、と同時に爆発音が鳴り響き
ミミィグレースが悲鳴を上げた。
「...早く脱出を。脱出ルートはここに書いてありますから、窓から出てください。
あとファリス様、着替えです。」
シアーゼはそう言うや否やファリスに布を投げて寄越し窓に近付いては様子を伺うように外を見た。
「お父様...お母様....っ」
泣き崩れるミミィグレースの肩をアッシュは抱き、こちらを見てくる。
ファリスはどうしたらいいか、と思考を素早く巡らせながらも彼らに背を向け早着替えをした。
「アッシュ殿下も行ってください」
「..なっ!?何を言ってるんだ!俺は残るぞ!」
「言ったでしょう。
奴らは王族の首が欲しいんです。
あなた方を血眼で探すでしょうから、なるべく
見つからないように身を潜めて時間を稼ぐんです」
「稼いでどうする!?国は占拠されるぞ!」
「そうならんように考えるのがあなたの仕事でしょう!でも最優先事項はファリス様を守ること!いいですね!?」
シアーゼに押し切られアッシュは唇を噛んだ。
ファリスは嫌な予感で胸がざわついた。
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