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第83話 ケルベロス

「...この先にみんないます。王も王妃も無事です。僕は1人で出口探し部隊だったわけなのですが...」 大将はそう言いながら道の先を片手でさした。 兵達はほっと安堵の声を零した。 大将に先頭を任せて一同は再び歩き出した。 「..一体どうなっている?」 「僕らは兵の準備を整えて、住民達を逃そうと動こうとした時に城が敵兵の攻撃にあい、城内はてんやわんや そうこうしているとシアーゼさんがやってきて 広間に集まってくれって言うんです。 有無も言わさず広間に集められると、使用人やら王様達もいて 何が始まるかと思ったらいきなり床がぱかっと開いて 延々奈落に落とされて、ふかふかしたものに当たって着地したと思ったらそれがでっかいケルベロスだったんです!」 大将の話にマルクは瞬きをした。 「え?なに?ケルベ...?」 「ケルベロスですよ!頭が3つある地獄の番犬!一同再びてんやわんやでなんとか戦闘態勢に入ったんですけど ケルベロスは流暢な関西弁で"待て待て待て話し合おうや。兄さん見たところ冒険者じゃないな?何しに来たんや?"と聞かれ どうやらケルベロスさんは冒険者専用の隠しボスだったらしく、こちらに戦う意思がないことを告げるとあっさりと避難所として提供してくれまして」 「ちょっと待ってファンタジーすぎてわかんない!」 マルクは混乱したが、何が怖いかというと自分より五億倍現実主義の大将からそんな話が飛び出していることだ。 敵の攻撃で頭がいかれてしまったのだろうか。 「いやーいい隠しボスで良かったですよ。」 呑気なことを言う大将はやがて1つのドアに辿り着きそこを開けた。 その先の光景を見て絶句する。 いる。 確かにいた。 城の大広間よりも広く豪華な空間にたくさんの人々とありえないほどでかい黒い犬がいたのだ。 マルクは思わず片手で口元を覆った。 「....ファンタジーだ」

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